「クライヴの瞳、綺麗ですよね」
すっかり習慣になった、休日午後のお茶の時間。
まるで宝物を見付けたようにアリアが無邪気に笑う。
「夜に映える色だと思っていたんですが、陽射しの中でもとっても綺麗です」
「陽射しが似合うのは君だと思うが…」
苦笑しながらも、こんな笑顔で言われれば満更でもない。
頬を撫で唇を重ねると、愛しさがそのまま深さになっていった。
「クライヴ…?」
合間に零れた、ベッドで交わすキスに似た濃厚さに戸惑う小さな声。
僅かに離れた背中を片手で抱き、顎を軽く引き寄せて繰り返し口付ける。
緩やかに首筋を辿った指がブラウスのボタンにかかると、アリアは再び身じろぎした。
「ん…駄目です、まだ……明るいのに」
「嫌か?」
「……恥ずかしいです」
「服を脱がなければ平気か?」
わざと論点をずらし、咄嗟に切り返せないでいる隙に華奢な腰を抱え、向かい合わせに座らせる。
そして膝から上へと、そっと手を滑らせた。
「クラ…イヴ、ほんとに、駄目…っ」
「他に何か問題があるのか?」
「ふ、服が汚れたら…」
「出掛ける予定もないし、構わないだろう」
「お洗濯するの、私なんですよ?」
拗ねた口調と真っ赤な顔で睨まれても凄みなど全くなく、ただ愛らしいだけだ。
もう止められなくなっているのは、きっと彼女も分かっている。
それでもささやかな抵抗は、羞恥心が消えないせいだろう。
「なら、俺も手伝おう」
「……約束、ですよ…」
観念したのか両腕が肩に回され、やや緊張気味な吐息が甘く耳を掠めた。
勢いに任せて情熱的に肌を合わせ、最後はほぼ同時に昇りつめる。
ぐったりとこちらに身体を預けたアリアの背中をさすり、クライヴも一度ゆっくり息を吐き出した。
乱れた服を整えかけたが、激しさの分、彼女が気にしていたように濡れてもいる。いっそ着替えた方がいいだろう。
「アリア、大丈夫か?」
「はあ……も……クライヴ、今日…どう……したんですか?」
確かに、着衣のまま日中のリビングでというシチュエーションに、いつになく調子に乗ってしまった感は否めない。
とはいえそもそもは、
「君が可愛いことを言うから、抑えが利かなくなったんだ」
「それ…、詭弁だと思います」
「事実なんだが…」
「………」
俯いて改めて気付いたのか、結果的に大きくはだけていた胸元を慌てて直す。その後でアリアはまたほんのりと染まった頬を両手で覆い、珍しくむくれた様子で呟いた。
「本当にお洗濯、手伝ってくださいね」
「ああ」
もちろん反故にするつもりはないが、理由が理由なだけに実際には恥じらって、やはり一人でやると言い出すに違いない。
どちらにしろ何らかの形で、この埋め合わせはしないとな…。
普段は見られない反応に内心笑みを噛み殺しつつクライヴは頷いた。
fin.
2013,04,07
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