次の休日、クライヴの「埋め合わせ」ネタで、引き続きバカップル。
こちらは大人向け描写はなく、ほのぼのです。
「ただいま」
「お帰りなさい。探していた本、見付かりましたか?」
「あ、……いや」
そういえば出掛ける口実に、欲しい本があると言っていた。
カムフラージュで一冊適当に買ってくれば良かったのかもしれないが、本来の用事を済ますのに精一杯で、そこまで考えが及ばなかった。
返事を濁し、小さな紙袋を差し出す。
本との関連が分からないせいだろう。アリアはきょとんとした顔でそれを受け取った。
「前に通り掛かった時、可愛いと言っていただろう?
先週は結局、約束を守れなかったからな」
「……ありがとうございます」
一連の出来事を思い出したのか、少しはにかみながらアリアは透明なケースを取り出す。
兎の形をしたマシュマロは、街に最近できた菓子店のものだ。
女性が喜びそうな品ばかりが並ぶ店内は、居心地が良いとは言い難い。実は一人で入るのに数分間躊躇してしまったのだが、平常心を装いつつ、彼女のイメージに一番合うこれを選んだ。
そして会計の際、「贈り物ですか?」とにこやかに笑う店員に勧められたのが…。
「ココアやコーヒーに入れてもいいらしい」
「じゃあ早速お茶にしますね」
いそいそとキッチンに向かう後ろ姿に、クライヴはどうやら埋め合わせができたようだと胸を撫で下ろした。
fin.
2013,04,29
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メッセージ
ありがとうございます♪
この後アリアは、クライヴにコーヒー、自分にココアをいれて、
何の迷いもなく両方にウサギマシュマロを浮かべ(←100%天然)、
クライヴは出されたメルヘンなコーヒーカップを前に一瞬固まりそうです。
(でもアリアに大甘なので、異を唱えずにそのまま飲むと思う・笑)