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□折りたたむ
「レオン、夕食は食べた?」
「ああ。他にも相談を受けているうちに夕方になってしまったから、向こうで食べてきた」
「それなら…、お茶を飲む? お風呂もすぐに入れるけど…」
疲れているはずなのに、鞄のことを優先してくれた。今度は自分が何かレオンにしてあげたくて、思わず必死に言葉を繋ぐ。
勢いに面食らっていたレオンは、やがて小さな声で笑い出した。
「レオン…?」
「まったくおまえは、相変わらず可愛いな」
「え? あの…」
愛しそうな瞳で見つめられ、触れられた頬が熱くなる。
その反応を楽しむように、レオンは何度もくるみの頬を撫でていた。
「おまえはもう風呂に入ったのか?」
「ううん」
「じゃあまずは、おまえと一緒に風呂だな」
「うん…」
なんだか、お風呂だけですまなそうな雰囲気なんだけど…。
色々な意味で心配なような、でも期待のような、早くなっていく鼓動を感じながらもくるみは頷いた。
fin.
2010,11,21